子供が不登校になった時①;不登校のメカニズム

子育て

2学期は不登校の増える季節です。
2学期は期間も長く、祝日も少なく、行事が多い…。夏休み明けにはちょっとしんどい、そんな気持ちもあるのかもしれません。

また、Covid19対策が嫌で休みたくなる子も増えていると聞きます。

今稿は、子供が不登校(気味)の時、保護者として何をしたらよいか書いてみたいと思います。
もちろん、不登校にも色んな事情、ケースがあるので、すべてが当てはまるとはかぎりませんが、少しでも参考になれば、幸いです。

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不登校のタイプ

まず、保護者の方に知ってほしいのは、本来「学校に行きたくない子供はいない」という事です。

子供の成長発達の過程とは、物を知り理解する過程です。すべての子供が、新しい事を知りたくてやってみたくて、周囲の模倣もほうをすることで成長発達します。
つまり、「知りたい、やってみたい」という好奇心は、子供の本能とも言えます。

そして、模倣の中でも社会面の模倣は「自分より少し年上の子」がモデルになることが分かっています。(参考記事:のぞましい習慣を子どもに教えるにはどうすればよいか?

小学校に入学するころには、よほど学校に行かないことが普通というコミュニティに暮らしていない限り、「世間一般的にその年代の子は小学校に通うものだ」と理解していますし、「自分もついに『小学生』になれるのだ」とちょっと誇らしい気分になっているようです。
子供の中には「立派な子供=立派に小学校に通う子」という図式ができあがり、「ちゃんと小学校に通いたい=ちゃんとした子供でいたい」という期待があるのです。

なので、言葉で「行きたくない」と言っていても本心は違う(但し本人も無自覚)ことを理解し、早合点して学校に行かない人生を用意する必要はないし、「うちの子はおかしい」と悲観する必要もありません

ここまでは前提で…

ではなぜ「学校に行きたくない」と思ってしまうのかを、想像してみましょう。


臨床現場でよくであう不登校には、パターンがあります。

  1. それまでいい子で通学していて、ある時「もう無理」と行けなくなってしまうパターン
  2. ずっと問題児として扱われてきて、ある時「もうやーめた」と行かなくなるパターン
  3. その他、身体の病気や家庭の事情で休みが多くなり「溶け込みずらい」となるパターンや、本人が対処しきれない何らかの問題をかかえて登校する余裕がなくなるパターンなど

この中で、一番多いのは1、次は1と2が合わさったケースでしょう。3は現場では不登校として認識されてない場合もありますが、欠席する理由としてはまあまああります。

不登校のメカニズム

前章で、すべての子供は学校に行きたいと思っている、と書きました。

実際には、学校に行かなくても人生がダメになる……なんてことはないのですが、子供たちは「普通は学校に行くもの」と思っています。でも…

行けなくなってしまう…。

日本人の常として、同調圧力に逆らうのはかなりの勇気が必要です。つまり、行きたいという普通を凌駕するほどの「行きたくない理由(事情)」が子供の側に生じている、と考えることができます。

学校に行きたくない理由・事情


多くの子供にとって「行きたくない理由」は無意識の過程です。聞いても答えられることはあまりありません。

なのでこの理由は、想像というか、不登校臨床でそうであろうとされている理論で考えると、以下のようなものがあります。

  • いじめ、先生との相性など、人間関係のストレス
  • 両親の期待に応えられないストレス
  • 勉強がわからなくてつまらない
  • 他に心配事がある

この理由は単独よりは組み合わさってることが多いです。

先生や友人とのトラブルが不登校の「きっかけ」になることは割とあります(子供たちが意識しやすい理由でもあるので)が、これだけを解決しても再登校につながりにくいのは、他の要因も絡んでいるからです。


気を付けたいのは、理由を考えることは大切ですが、「原因」を見つけたら即解決できる、と早合点しないことです。

むしろ、ここで気づいてほしいのは、「行きたくない理由」は、どんな子供にとっても学校生活のプレッシャーになりうるものということです。
人間関係で苦労した、勉強が難しいと思った、学校の様々な活動が上手にできないと不安になった…多かれ少なかれ、誰でも経験のある事です。

社会生活にはストレスやプレッシャーはつきものなのです。
ほとんどの人がそのストレスやプレッシャーを乗り越える中で、そうではない一部の人がいる……

なので「理由があるなし」ではなく、理由の大きさと本人の心のたくましさとの兼ね合い、という個人差の問題が大きいということです。

もう一つの変数は、「心のしさ」です。

心の逞しさ


心の逞しさとは、いろんな要素の複合で成りたっています。単純に図太い性格とは少し違います。

精神医学では「レジリエンス」と言ったりする概念と近いですが、難しい言葉よりも、「その人の心(あるいは脳)の機能が過不足なく働ける状態を維持できること」と私は考えています。


私たちの全員が、人類数万年、この地域に国家ができてからでも2千年もの社会生活を生き延びた人類の子孫です。
誰もが、きちんと社会生活に対応できる心と身体を持っています。そこは自信を持ちましょう。


その逞しさが過不足なく働ける状態になっていないなら、それを正せばよいという発想です。
子供の心の逞しさに関連する要素として、以下が大切と考えられます。

  • 本人の心理特性:不安、自己認識、発達障害など
  • 家族関係:家庭が安心できる環境か(虐待、両親の不和、家族メンバーに問題など)、親きょうだいとの関係
  • 自分の健康上の問題
  • 栄養状態


理由と逞しさの兼ね合い


上に書いた通り、「学校に行きたくない理由」は、誰にでも生じる社会生活でのストレスです。
誰にでも、という事はつまり、それだけでは不登校の原因にはならない、という意味です。

不登校の原因は、誰にでもあるストレスに耐えられる心の逞しさが発揮できないこと、と考えた方がいいのです。


「学校に行きたくない理由」を探し解決することは、子供の登校環境を整える大人の役割ではありますが、それだけでは足りません。
同時に「心の逞しさ」を鍛えることが必要ですし、「心の逞しさ」はその後の人生の資産にもなります。

心の逞しさは簡単に鍛えられるものではないのですが、せっかくの不登校というSOSを、子供のうちに心を鍛える生活スタイルを手に入れるチャンスと捉えて、取り組んでみてほしいと思います

次稿~は、何をどうするか考えます。

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