前稿での健常児寄りの発達のメカニズムから派生して、発達障害のなりたちについて考察します。
まずは日本人のすべてがあてはまる「自閉傾向(ASD傾向)」について。
自閉のなりたちと支援の方向性
過去稿でも触れましたが、私は、日本人はグラデーション的には全員が自閉症の遺伝傾向を持っている、またその中で多動症の遺伝傾向のある人は臨床域で数%、グラデーション的には数十%くらいと考えています。
なので゛普通に”育てても多少の特性が現れるのは当然です。
育ての目標は「特性を消すことではなく、社会に適応しやすい大人になること」が、よいと思います。
それでも、適応するかしないかは本人次第ですし、社会の側の要因にもよるので必ず適応するとは言えないのが難しいのですが。。
発達特性のなりたちを知ることで、何をどう支援する、育てるといいのかを、理解できるといいなと思います。
自閉傾向のなりたち
- 持って生まれた特性:特に、感覚過敏、感覚認知の問題
- 生育環境の問題:話しかけられる経験、電子機器などに触れる機会
- 人より物に興味関心・安心感を持つ子どもになっていく ⇒言葉の遅れ、こだわり
- はじめてのもの・予測できないものは不安 ⇒こだわり、パニック、新規刺激を避ける
- 成長につれて、言語力が伸び(抽象的思考力)ると、目の前にないものへの不安が減ってくる、他人との交流を怖れなくなる ⇒社会適応、社会的認知の発達へ
簡単に箇条書きしてみました。
”持って生まれた特性(生理的特徴)+育児環境による経験”から、副次的に心理的反応が生じてきます。
ですが、そこを分けずに「特性」ととらえてしまうと、いろいろ問題がおきやすいように感じます。
感覚過敏・感覚認知
感覚過敏はDSM-5では症状の一つとして記載されていますが、私はこれが重い自閉傾向をもたらす遺伝的要因であり、すべての症状の元になっているものと考えています。
同じようなことを考えている方が教育の研究者の方にもいるようで、こちらの本は参考になりました。
私は認知機能の研究者ではないので、細かく認知を計測したりといったことは経験がないのですが、臨床的に観察していて、同じような結論に至りました。
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自閉症の子では、苦手な音、苦手な触感などが明らかにある子が多くいます。
苦手な音では、泣いたり、パニック状態になったり、耳をふさいだりという行動がみられたり、苦手な触感では、好きな触感の服以外は着ない、拒否するなどのこだわりがみられたりします。
また、他の感覚でも例えば味覚の過敏さが、極度の偏食につながっている可能性があります。
これらの過敏性の多くは年齢と共におさまっていくことも多く経験しますし、学校へ行くくらいの年齢だと゛ヘッドホン”や゛イヤーマフ”などをつけていれば、問題なく過ごせるようになる子もいます。
ヘッドホンやイヤーマフも耳栓レベルの高性能ではなく、防寒用などのものでも十分な子がいます。これはこの年齢になると、実際の音量よりも、本人の安心感が重要になると考えられるケースも多いということです。
また、聴覚過敏や視覚過敏などの感覚過敏、感覚認知の異常は、成人の精神疾患でもわりと普遍的にみられる症状です。統合失調症はまさに感覚認知の異常が表に出てくる疾患ですが、うつや神経症などでも感覚の過敏性は珍しくありません。ライブハウスなどの大きな音が苦手になったり、羞明感:まぶしさを感じやすくなったり、味覚異常としての味がないように感じるなどです。
それぞれの疾患は、精神病理的には違うものと分類されますが、脳が持つ生理機能の不調として感覚の認知に異常をきたすという意味では、共通項がありそうです。
つまり、感覚過敏・感覚認知の異常は、遺伝的傾向であると同時に、脳の状態の影響もうけるのです。
これは、年齢と共に改善する子がいること、ある程度心理的要素(安心か危険かなど)の影響をうけることの説明になると同時に、どのように支援するかの方向性も見えてきます。
感覚過敏・感覚認知に問題があるとコミュニケーション力が育ちにくい
ご存じのように、゛コミュニケーションの問題”は自閉症の中核症状とされます。
健診で言葉の遅れを指摘され受診する子は多くいます。
人がコミュニケーションをどうやって身につけるかを考えると、感覚過敏や感覚認知の異常の不利さが理解できます。
前稿の「初期の発達のイメージ」の中で、「感覚刺激」という項目をあげましたが、感覚過敏・感覚認知の異常があると、適切な刺激を脳に入力できません。
具体的に言うと、聴覚の場合、人の声に聴力の照準を合わせにくいという問題がでてきます。人の聴力(脳の聴覚機能)には、人の声に照準を合わせ聞き取りやすくするいわば゛ノイズキャンセラー機能”がありますが、これが利かないと、人の声はとても聞き取りづらくなります。テープレコーダーを知っている世代の人は、素人がテープで録音したものの中から人の声を聞き取る難しさが分かると思います。
視覚の場合も、人の顔に焦点が合いづらければ表情の認知もまねもしにくくなります。
だいぶ前にテレビ番組で自閉症の人と健常者の視線カメラの比較を見たのですが、健常者が目の前の人に焦点を合わせるのに対し、自閉症の人は後ろの壁のスイッチを見ている様子が放送されました。
健常児の視覚発達では、視力が出始める生後1か月くらいから、顔的な造作(目と鼻と口の位置関係のもの)に視線が惹きつけられやすいとされます。しかし自閉症の重度の子では、その頃から視線があいにくいことに気づかれることがあります。
なので、この顔的な造作に視線が惹きつけられる機能が、自閉症では生得的に苦手であるという仮説がなり立ちます。
上記で紹介した本には、表情はあいまいな刺激だけど物体は輪郭がはっきりしているからではないか、と考察されていますが、私はそれは見えるものを見るようになったという結果の可能性もあると思います。
このように、聴覚、視覚で人の声、表情が認知しにくい状態であると、声、表情をまねることも難しいと考えられます。
自閉症はミラーニューロンの問題と言われたりもしますが、私はミラーニューロン以前の感覚入力の問題があると考えます。
生育環境の問題:話しかけられる経験、電子機器などに触れる機会
感覚過敏が強くない状態の人でも、脳に適切な刺激が入力されない問題として゛生育環境の問題”がありえます。
言葉を聞きまねする、表情を見てまねするには、言葉や表情にたくさん触れる機会が必要です。
それらが昨今の育児環境では減っている可能性があります。
団塊ジュニアの私が子どもだった頃、今から40年くらい前のことですが、折しも第2次ベビーブームがあり、周囲には同じくらいの子育て世帯がたくさんありました。
また、親は戦中派だったのできょうだいが多く、いとこも数えきれないほどいました。
まだ近所を子どもがひとりでお出かけすることも、道で知らない大人に声をかけられるのも普通で、地元の大人がみんなで地元の子どもを見ている牧歌的な雰囲気がありました。
そしてテレビは一家に一台、家庭用ゲーム機が発売されたのは、私が小学生の時でした。
何が言いたいかと言うと、親以外の大人、子どもとコミュニケーションをとる環境がそこにはあったということです。親が家事育児にテンパっていても核家族でも、それ以外の大人、子どもから話しかけられ、色んなタイプの人の声、表情、性格などのパターンを脳に入力できました。
遊びもアナログのおもちゃ中心で、外で身体を使う遊びも存分にできました。
それが、今では全く違います。
今は、きょうだいは少なく、いとこも少なく、祖父母同居率も減り、親以外の大人が話しかけられたら事件になる地域が多くあります。子どもの外遊びにも制限が多くありますし、ゲームが遊びの中心というのも珍しくありません。
家庭内でも一人一台以上の電子メディアがあり、家族とも会話よりメールの方が多く、空き時間も銘々がスマホを見ている…そういう状況は珍しくないでしょう。
私は、この社会環境の変化が、昨今の発達障害児の増加の原因のひとつと考えます。
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良かれと思ってか、仕方がないと思ってか、言葉を覚える段階の子にもタブレットを見せている家庭もあります。
5歳の自閉症の子のお父さんで「言葉は遅くても、教えなくてもスマホの扱いどんどん覚えるんで、うちの子天才だと思います」という方にも会ったことがあります。
前稿で触れたとおり、子どもの脳は入ってきた刺激に適応して発達します。電子メディアのようなオンオフで切り替わる電子信号、アナログな雑味は全部切り取られた音域の音、これらに脳が適応した場合、人の表情や音声はとてもあいまいでキャッチしにくい刺激になるでしょう。
また、電子機器の反応はすばやく分かりやすいものです。例えば指で触れれば場面がパッと切り替わる、このような反応は楽しさや興奮を引き起こし、嗜癖状態を作り出す可能性が高いものです。
楽しいので、教えていないのに熱中して取り組むのは当然といえますが、このような状態は嗜癖(依存)と紙一重だということは、知っておいてください。
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20年以上前より日本小児科学会では、「2歳未満の子どものテレビ視聴時間は1日2時間までにしないと、言葉の発達が遅れる可能性があります」と提言を出していました。
スマホ、タブレットの普及に合わせて、最近ではもう少し厳しくなっています。
日本小児科医会の提言
(2019)
- 2歳未満はテレビ等の視聴を控える
- その後も1日2時間までにする
- ゲームは1日30分までにする
米国小児科学会ガイドライン
(2016)
- 2歳までは視させない
- 2歳~5歳も1日1時間まで
家事育児ワンオペ、電車に乗って騒げないなど、どうしても、という場面はあると思うので、一律禁止は厳しいと思いますが、脳が認知機能を鍛えている時期だと理解して、できるだけ電子メディアに触れる時間を減らす工夫をしてみましょう。
感覚過敏・言葉の遅れから生じる心理的反応:こだわり、パニック、新規刺激を避ける
自分が感覚過敏の強い子として生まれたと想像してみましょう。
おくるみの触り心地が嫌い、唇に触れられるのも嫌い、音は雑音が響く世界…、「えらいところに生まれてしまった」という感じでしょう。
もちろん言葉はまだないのですが、恐怖につつまれた世界であることは想像できます。
身体が大きくなり動けるようになったら、恐怖心を全身で表現する、それが゛自閉症のパニック”だと考えられます。
その中で、嫌いじゃない刺激に触れたとき「これは安心できる」と覚え、常に「これがいい」と主張すること、嫌いな刺激を覚えそれを拒絶することが、゛こだわり”の始まりだろうと考えられます。
感覚過敏の改善に合わせて、言葉や論理力の発達に合わせて、こだわりの内容は変わってきます。こだわりがやわらぐことも多いし、本人の興味、関心に沿うこだわりに変わる場合もあります。
感覚過敏が収まってきた後の多くのこだわりは、「初めての物はちょっと不安」という心理が隠れているように思います。
つまり、初期のこだわりは感覚過敏から直接、その後は「これは安全/危険だった」という記憶から予測してこだわるように変わっていくと、考えられると思います。
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乳幼児から小学生でも同じですが、安心できる環境にいるときに子どもは発達します。(安心できない環境にいるとき、赤ちゃん返りするのはその表れです)
つまり、安心できるところだと゛ちょっとチャレンジできる”のです。
安心は、経験を積むこと(つまり慣れる)のほか、頭で理解する(言語力、論理力を身につける)ことで得られます。
こだわりは治らない特性ではなく、世界について理解が進んでいないが故の不安のあらわれなのでしょう。こだわりを止めさせる方に注力するより、この世界はそれなりに安心できるところだと理解してもらえるように支援することが、重要ではないかと考えられます。
乳幼児自閉症のよくある問題と支援目標
以上みてきて、自閉症支援の問題点が見えてきます。
心理的反応まで含めて「特性」ととらえられがちで、生理学的な問題(脳の機能)が過小評価されているところです。(これはICDやDSMでもそうなので診断としてもそのようになってしまいます)
このことでおきる問題は、多くの現場で、心理的反応への対処が優先され、一番の困り感である生理的特徴が軽視されてしまうことです。
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前稿で触れたように、脳の発達には「臨界期」という概念があります。
脳にはある程度の年齢までに経験しなかったことは将来的にも習得できない、可能性が高くなりますす。
なので自閉症児の支援においては、生理的特徴にアプローチして苦手感を減らし、幼小児のうちに経験した方がよいことが経験できるようにすることが大切と考えます。
心理的反応は副次的な症状なので、発達が進めば問題にならなくなっていきます。
心理的反応にかまけている時間はあまりないので、それはそれ、として、発達を促進する方に注力してほしいと思います。
また、現状残念ながら、各地の療育センターは公立私立を問わず、質がばらばらです。
センターに通っている子だとしても、以下の方法は基本的には親や養育者(や近しい大人)に取り組んでほしいと思います。
発達支援の具体的な方法
栄養の充足
脳が発達するため、もとい脳が機能するためには、大量の栄養が使われます。「脳は糖分を栄養にする」と言われますが、本当に必要なのは、糖質以外の栄養(たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)だと知って下さい。
もっと言えば、脳は糖質がなくても働きます。脂質も使えるハイブリッドなのです。
特に自閉症の子は偏食が激しいケースがありますが、「食べられるなら、糖質でもお菓子でもいい」ではなく、できるだけ食べられる糖質以外のものを探す必要があります。
優先したいのはたんぱく質と脂質です。(過去記事参照 ↓)
偏食が固まってしまってからでは、介入を全く受け入れない子もいます。
できるだけ、離乳食からあるいは、妊娠中(妊娠前)から栄養を取り入れられる身体をつくることが大事だと、私は考えています。
特に母乳育児では、生後6か月頃より鉄分不足が顕著になります。離乳食では積極的に鉄分補給をするか、ミルク併用にした方がよいと思います。
鉄とたんぱく質を同時に摂れる食材は赤身の肉やレバーです、外国では離乳初期から肉やレバーを推奨する国もある事を知ってください。野菜より米より、肉です。
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栄養が足りない時の脳は、省エネ運転をします。
新しいものを覚えたり、新しい機能を発揮したりせず、今まで使ってきた回路を優先します。
また、脳が省エネ運転をするとき、不安の感情は強くなると考えられます(うつ病のメカニズムも似ています)。
子どもの脳の場合、発達する圧が強いので多少の栄養不足でも発達しますが、細かいところで、本人のウイークポイントで(遺伝的傾向)、うまくいかないところが出てくると考えられます。
また、不安が強くなるとこだわりは強固になります。
同じ年齢層の子どもに比べて自制がきかなかったり、感覚のフィルターがきかないため、感覚認知に影響がでたり(感覚過敏がひどくなる)、睡眠や排便などの生体リズムが崩れたり…。
そういう体質だと思っていたことが、実は栄養不足だったということは珍しくないのです。
漢方薬
漢方治療の元ネタはこちらの書籍です。
著者の小児科医は鬼籍に入った方ですが、生前、医学雑誌に『自閉症の漢方治療』について何本か投稿されていました。
私はそれを読んで漢方薬を使うようになりました。
今稿では詳しくは書きませんが、漢方薬の効き目は感覚過敏の軽減として現れるようです。
乳幼児では自覚症状を話してくれないので、他覚的な観察のみですが「後ろから呼んだら振り向いた」という話はよく聞きます。
高校生の方は、「この薬を飲むと、頭がすっきりして会話がしやすい」と言い、「僕これ、一生飲みたいです」と話してくれました。
そしてこの、感覚過敏が落ち着いたと思われる状態から、一気に発達が進むケースも珍しくありません。
言語、非言語的やなりとりが進むと同時に、人見知りをする、怖がりになる、反抗期になるなど、親子の関係の中で体験する心理的なあれこれを、駆け足で体験する子も多くいます。
上に書いた高校生は中学までは友達関係がつくれず孤立していましたが、高校では友達ができ「クラスの男子の集団でバカな事をするのが本当に楽しいんです、中学の時はあんなのうるさいだけで何が楽しいんだろと思ってたんですが…友達っていいんですね」と報告してくれました。
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ただし、気になるのは、10年くらい前に比べて今は゛漢方薬が飲めない子”が増えている件です。
以前は、処方して飲ませ方を保護者と相談して試してもらうと、ほとんどの子は飲めた(体感で7,8割以上)のですが、今は体感で4,5割の子しか飲めません。
味覚の過敏の問題の可能性もありますが、むしろ重めの自閉の子の方が飲めるのでそこは合いません。
考えられる要因は、感覚過敏よりも栄養不足が主因になって症状が出ている子が増えているのではないか、という事です。
なので、今では漢方薬の適応は、感覚過敏の症状が明らかにある子で栄養状態がまあまあの子、と考えています。
漢方薬は゛病名”や゛症状”に対して適応が決まっているわけではなく、患者さんの体質や状態や病期に合わせて方剤が変わることがあります。
処方を希望する場合は、上記の本を持っていき「これを試してみたい」と率直に相談して処方してもらう事をおすすめします。「読んでみて考えたい」と言われることもあるかもしれませんが、まともな医師なら、一刀両断に否定することはないと思います。
漢方薬でも副作用はありますが、処方する方剤によって違うのでここでは書きません。
処方する医師や薬剤師から確認してください。
ちなみに、私の自閉症漢方治療の第一号は、゛ADHDと言われ中枢刺激薬を出されたら、よく効いたけど副作用で続けられなかった小2男子” です。今ではそういう所はないと信じたいですが、「ADHDの薬を飲めないならできることはない」と言われ、途方に暮れて私のいた病院にきた方でした。
漢方薬を飲んだところ、驚いた先生から電話があったほど激変した、ということでした。
ADHDと診断されていても、感覚過敏やコミュニケーションエラーが隠れているタイプの子には、効果が出ると思います。
話したり、遊んだり
子どもの発達を促進する大人の関り合い方は、どの子でも基本的には同じです。
殆どの子は、栄養と感覚過敏性の問題と電子機器の使い過ぎが解決すれば、今までの関りを何も変えることなく状態がよくなることと思います。
まずは、そちらの環境調整を優先してみてください。
簡単に関わり方のコツを書いてみます。
発達早期
- 言葉はまねすることが基本で覚えます。たくさん話しかける、子どもが何か発声したら復唱、言いたそうなことは代わりに言ってもよいでしょう。赤ちゃん言葉を使う必要はありませんが、穏やかな音声を心がけてください。
- 話しかけて返事が返ってこなくても心が折れにくいのは、行動の実況中継です。たくさん言葉を聞かせるには有効ですし、目に見えない社会のルールを言葉で整理する(将来子どもに教えなくてはならない)、役にも立ちます。
- できるだけきちんと向き合って話しましょう。表情と声、両方合わさって覚えます。
- 表情と声色、話す内容に矛盾がないようにしましょう。
- 子どもは「楽しい時」に視線を合わせます。つまり、視線を合わせる練習は、楽しい時間を共有する時です。子どもが楽しいと思える(うれしそうな声をあげたり、目を輝かせたり)遊びを一緒にする時間をもちましょう。
始めは楽しいから合わせていた視線が、そのうち楽しくなりたいから視線を向けてくるようになります。 - 言葉のないうちから、「楽しいね」「お腹すいたね」「怒ってるのね」「片付けたくなかったね、やめたくなかったね」など、子どもの気持ちの翻訳・代弁をたくさんしましょう。よく見ていると、代弁した子どもの気持ちが当たっていた時と外していた時の様子が違うのが分かるようになります。
言葉以降
- 基本は発達早期と同じです。楽しい雰囲気を心がけましょう。
- ジャスチャーを含めていいので、やりとりのキャッチボールが続くように、子どもの話したい話題(好きなものや欲しいものの話)で質問を投げかけてみましょう。
- 最初はクローズドクエスチョン(はい/いいえ、単語など答えの決まっている質問)、次は2択、慣れてきたら3択/たくさんの中からの選択、その後でオープンクエスチョン(何で、どこ、どうやって?など答えが無数にある質問)、質問に答える難易度を理解し、子どもの言葉の段階に合わせましょう。
- 毎日、楽しい雰囲気で会話や遊びができる時間を確保しましょう。生活に追われて𠮟ってばっかりにならないように、「遊ぶ(話す)と決めた時間」がある方がうまくいきます。一緒に湯舟の中で、寝かしつけるお布団の中でなど、短くてもいいので他のことに気のそれない時間がベストです。
- うそ、脅し、いじわる、からかいなどはやめましょう。子どもの発達は安心感の中で得られます。子ども時代、軽い冗談でも深く傷ついた経験のある人は多いものです。
たくさん話せるようになったら
- 基本は発達早期・言葉以降と同じです。楽しい雰囲気を心がけましょう。
- 前稿の「言葉以降の発達のイメージ」を意識して、色んなパターンの会話を経験させてあげましょう。
- 言い間違いや赤ちゃん言葉(幼児発音)は、「○○ね」と相槌をうち正しい発音を聞かせるだけで十分です。
- 子どもの興味のある話題(はまっている遊びなど)をネタに話すといろいろ引き出せます。ポイントは、否定したり矛盾をついたりして話の腰を折らない事です。この時点では、正しいことを話すかより正しく話すかを重視します。
倫理的に間違っているとか内容の矛盾が気になる場合は、「教えてほしいんだけど…」と興味を持ってる風に質問し、答えさせながら間違いに気づくように誘導することはできます。
親子が似ているがゆえに起きる問題
簡単な人には簡単なことかもしれませんが、親子の間には葛藤があるのが普通で、親だからこそ子どもと無邪気に話せないという状況もありえます。
親が自分の欠点だと思っている部分を、子どもの中に見つけたりすると無性にイライラするものです。多くの場合、感情に任せて叱りがちですが、それでうまくいくことはあまりありません。
無理せず、親ご自身がセラピーを受けた方がよい場合もあります。(私のオススメはボディートークです)
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親自身も、栄養不足でイライラしたり、自分の問題で頭がいっぱいの時は、うまく関われなくても仕方ありません。自分を後回しにするより、先に自分の問題を解決した方がよい場合もあります。
特に栄養は、出産したお母さんはその分の補給も必要ですし、親の脳の活動(寛容力など)にも重要です。
そもそも日本人女性は、たんぱく質・鉄分などが不足しています(参考;栄養とれてますか?)
親子での栄養摂取に取り組んでみてほしいと思います。(参考;親と子のたんぱく質の盛り方)
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