野菜の効用②:抗酸化活性

セルフメンテナンス

前稿につづき、野菜の重要性について考えてみます。

スポンサーリンク

植物特有の栄養素:フィトケミカル

フィトケミカルについては、以前の稿でも触れましたが、抗酸化物質としての役割があります。

抗酸化物質は、それぞれが連携しながらネットワークを形成しています。(中略)ネットワークを助ける物質として、フィトケミカルが関わっていることがわかってきています。

フィトケミカルとは、植物の化学物質という意味で、野菜や果物の色素やにおい物質の中から発見され研究がすすめられています。
フラボノイド類やカロチノイド類といえば、聞いたことがあると思います。有名なのは、ポリフェノール、カテキン、カロテンなどです。

フィトケミカルは100種類以上発見されているようですが、まだ数種類しか研究はされていず、全貌はよくわかっていません。

各論編;抗酸化活性を上げる~免疫その⑤

繰り返しになる部分もありますが、詳しくみていきます。

抗酸化物質

「酸化」は身体の中でおきる化学変化で、“老化”やがんの発生に関わるDNA損傷の機序などが知られています。酸素は有用であると同時に毒性も強いのです。
呼吸をする生命(酸素を取りこんで利用する)にとって、寿命を規定する因子のひとつとも言えるでしょう。

なので、生命にとって、酸素を利用しながら生きのびるために、“抗酸化”というシステムは必要不可決なものです。
“病気の予防≒アンチエイジング”なのです。

人では、抗酸化を行う物資は、複数知られています。

  • グルタチオン:3種類のアミノ酸から合成される、たんぱく質です。抗酸化物質の中では体内に最も多く存在し、最も重要と考えられます。40代頃から産生が減るとされます。サプリは高価なため、たんぱく質をしっかり摂りましょう。
  • ビタミンC:有名な水溶性ビタミン。人では体内で合成できないので、食品(又はサプリ)で摂取する必要があります。
  • ビタミンE:脂溶性の抗酸化物質の代表。細胞壁、脳、コレステロール関連(性ホルモンなど)全身で働いています。食品やサプリで摂取する必要があります。
  • αリポ酸(リポ酸):脂溶性、水溶性両方の性質をもつため、体内のどの部分でも働くことができる抗酸化物質。体内で産生されるけど中年以降は減ってくるため、サプリでの補充推奨です。
  • CoQ10:ビタミンEの働きを助ける脂溶性の抗酸化物質。体内で産生されています。
  • フィトケミカル:本稿の主役。植物に含まれる化学成分。

酸化・還元についての基本

高校化学を学んだ人は知っていると思いますが、酸化とは、「(物質が)酸素と化合すること」と言えるのですが、化学的には「電子を渡すこと」と定義されます。

酸素という物質は、電子を奪いやすい構造をしているため、酸素と結合することは電子が奪われることを意味していて、「酸化」という名前の由来になっています。
この辺りが、「酸素は毒性が強い=身体を酸化させる」ということの意味です。

では、酸化の反対はなんでしょう? 「還元」です。
これは、科学的には「電子をもらうこと」です。

つまり、「抗酸化物質」とは「酸化されているものを還元しやすいもの(=酸化されているものへ電子を渡しやすいもの)」ということになります。
他の物質へ電子を渡すということは、そのものは電子が少ない=酸化された状態になります。

抗酸化物質と活性酸素の違い

「酸化された物質」はまた他の物質から電子をうばいやすいのですが、その物質の化学的な性質により、電子を奪いやすい構造と、電子を奪いにくい構造があります。

前者の代表が、酸素(およびその化合物)が生体内でとりうる「活性酸素」という状態です。活性酸素は非常に電子を奪いやすいため、容易に周りのものを酸化させてしまいます。

かたや、後者の代表が「抗酸化物質」です。抗酸化物質は電子を渡しやすい構造をして、他の物質を還元しやすいものです。また、他の物質を還元して(酸化された=電子を失った)状態になっても、安定度が高く、簡単には他の物質から電子を奪うことはありません。
この、電子を渡しやすい構造と安定性が“抗酸化活性”であり、主に活性酸素を無力化する働きをしているのです。

「活性酸素」は言わずと知れた、老化やがん化の原因物質です。
生物の祖先が水中から陸上に上がって、「酸素」をエネルギー代謝に使うようになってから、いやおうなくついてきている負債です。
活性酸素を除去することができなければ、生命を維持するのはとても難しくなります。なので、どの生物も抗酸化活性をもつように進化してきました。
人の場合は、上の物質たちをうまう使うように身体ができている、という訳です。

抗酸化物質のネットワークシステム

では、酸化された抗酸化物質はどうなるのでしょう?

「酸化」は重要なアンチエイジングのテーマであり、近年研究が進んできています。
現状分かっていることとしては、「抗酸化物質同士がお互いを還元し、抗酸化活性を保っている」ということです。

模式図を書いてみました。

ビタミンCとグルタチオンは水溶性で、主に細胞の中(DNAなどの存在するエリア)で働きます。
ビタミンEとCoQ10は脂溶性で、主に細胞壁や脂質成分の多い組織で働きます。ビタミンEはセレン(ミネラル)と共同して働きます。
αリポ酸はその両方で働くことがわかっています。

また、αリポ酸を中心にお互いがお互いを再生(還元)するネットワークを組んでいます
どれかひとつではなく、複数の抗酸化物質を組みあわせた方が効率よく全身をカバーできるということです。

フィトケミカルはビタミンCを再生することで、ネットワークを強化しているとされます。人はビタミンCを体内で合成できない動物で、食事として取り入れるしかありません。フィトケミカルはその効率を高めているとも言えます。

フィトケミカルには未知の物質(科学的に研究がすすんでいない)もあるため、もっと複合的にこのネットワークに関わっているという説もあります。

抗酸化物質も複数くみあわせがよいように、野菜も複数くみあわせがよいと言うことです

(フィトケミカル以外の抗酸化物質の詳細は→こちら

フィトケミカルの摂り方

フィトケミカルの種類

現在研究がすすみつつあるフィトケミカルには、「フラボノイド系」「カロチノイド系」「硫黄化合物」などが知られます。

フラボノイド系として、ポリフェノール、アントシアニン、カテキン、イソフラボン、イチョウ葉エキス、ピクノジェノール(松エキス)などがあります。
カロチノイド系は、βカロテン、ルテイン、リコピンなどがあります。
硫黄化合物には、スルフォラファン、アリシンなどがあり、その他、リモネン、カプサイシン、メンソールなどもあります。

フィトケミカルとしては数1000種類があると考えられていますが、科学的に研究されている(名前がついている)のは数10~100種類程度と言われます。体内での働きがわかってきているのは10種類程度だそうです。
これからどんとん知識がアップデートされていく分野ですね。

いくつかのものは、体内での働きも研究され、外国では医薬品として医療利用されているものもあります。日本では、健康食品やサプリとして売られていたりします。

ただし、私はフィトケミカルについてはサプリをおすすめはしません

フィトケミカルの研究が最近まであまりされていなかった理由に「βカロテンのトラウマ」があったと言われたりします。
βカロテンは人参などに含まれる黄色い色素で、体内でビタミンAに変換されます。
1980年代頃、健康効果が高いという事でサプリ(健康食品)が売られ、TV番組やCMで盛んに宣伝されたことを覚えている方も多いと思います。
その後、人気があったが故か、過量摂取の健康被害が生じる(ビタミンA過量は危険です)こととなり、また、βカロテンを野菜で摂るようにはサプリでの効果がでないという研究発表があったりしました。
ブームは下火となり、2000年代にポリフェノールが登場するまで研究も下火になったと言われます。

この教訓から言えることは、何かの健康への利益が発見されても、サプリなどのように精製されたものを大量に摂ることの健康への影響は未知数なことと、野菜として摂るようには効かないかもしれないことです。

また、サプリとして開発できるのは研究されている100種類が限界ですが、自然界にはその数100倍のフィトケミカルが存在しています。
野菜として摂ることで、それらの未知の成分も取り入れることができるし、野菜の毒性や長期摂取の影響は、長い人類の歴史で知恵として蓄積しているため、安全性が高いのです。

食物繊維は場合によってはサプリもありですが、フィトケミカルは野菜でとることを最優先に考えてほしいと思います。

フィトケミカルの効率的な摂り方

フィトケミカルは植物の細胞内にある成分なので、加熱して細胞成分を壊した方が効率よく摂ることができます。イメージとちがって、生野菜ではあまり意味がないです。

また、煮汁に漏れ出てしまうため、汁ごと摂取する方がよいです。煮込み料理やスープ、みそ汁などで食べるとよいでしょう。
湯がいて汁を捨ててしまうのはもったいないので、下茹で時には無水加熱や蒸し煮をした方がよいです。

既出ですが、私は「重ね煮」をおすすめします。

基本の2~3種類の野菜のくみあわせでもいいし、もっと多い種類の野菜をまとめて重ね煮することで、たくさんの種類を取り入れやすくなります。ゆっくり加熱することで甘味が強くなり、子どもさんでも食べやすくなります
無水加熱は腐敗しにくいのも魅力です。

私は、一度にまとめて野菜を重ね煮し、小分けにして冷蔵・冷凍保存しています。
今日の食事に野菜が欲しいと思ったら、冷蔵庫から出してみそ汁にしたり、あえ物にしたりできます。

ちなみに基本の重ね煮は「椎玉人参」で、下から椎茸、玉ねぎ、人参の順で、同じくらいのサイズに切って重ね、一番上に塩を少し降り、ゆっくり無水加熱します。
私はガスですが、電気鍋でも同じようにできると思います。

びっくりするおいしさに変化するので、騙されたと思って試してみてください!

コメント